1 農業情報コンサルタントとは
 2
農業情報化のすすめ
 3 農業情報一貫管理で経営改革を
 4 食品安全への取り組み
 5 トレーサビリティシステムとIP生産システム
 6
農産物流通構造の変化
 7 ITを活用した新たな農業のビジネスモデルの創造
  農業情報コンサルティング・サービス
1.農業情報コンサルタントとは

 農業情報コンサルタントという職業がどれだけ知られているか、あるいはそれが職業として認知されているかどうかも分らないが、筆者は農業情報コンサルティング株式会社に所属し、その代表取締役コンサルタントとして働いている。もともとは農家の後継者であり、また1975年から16年間は農協の職員としても農家や農業・農村の問題に深く関わってきている。80年代には農協の業務などを通じてコンピュータが身近なものになってきたため、職場で志願してプログラマーとなり情報システム化によって様々な業務改善などを行ったことが、農業情報化を仕事に選ぶことになったきっかけである。

 コンピュータやネットワークを抜きにして農業農村情報化を論じることはできないが、IT(情報通信技術)の技術的側面だけでは肝心の農業が見えてこない。コンサルタントが「農業・農村の情報化」に取り組む場合、気象などの計測・分析や温室の環境制御、作物の生育診断、市況分析、ネットワーク運営などの技術問題だけではなく、そういった技術に裏打ちされた農業の経営・計画や農産物の流通・販売から食品安全・環境問題などにいたる、経済・社会の諸問題にまで言及しなければならない。農業と情報に関する技術と社会の二つの側面を、統合的に捉えることが重要なのである。

 そこで、農業情報化の課題を、「誰が」「何を」「どうする」のかという視点で考えてみると、「生産者や消費者が」「食料や経営・環境の諸問題を」情報の視点から「ITを活用して解決する」ことだということができる。その際に肝心なことは、ITで何ができるのか、ITで何をしたいのかなど、はじめにITありきの考え方ではなく、農業や農村が抱える問題や問われている課題を明らかにし、その解決策を見出した上でITを如何に活用するかということの方法論を提案することである。

 ブロードバンドの時代になって、人と組織、組織と組織とのコミュニケーションの方法や仕組みが変化してきた。食料や経営・環境の諸問題もこの新しい枠組みの中で解決していくことになれば、その本質的な意味を、つまり食料産業や地域運営としての農業の果たすべき役割についても、その新たな枠組みに合った姿(モデル)として描いて、その上でITを活用した農業・農村のモデルを考えることが必要である。しかし、「農業・農村の情報化」を進めるうえで、最も肝心なことについては当事者が直接かかわって考えなければならないということである。「情報化」の骨組みとしてのITは専門家が作るが、それをどう利用するかは、「情報」にアクセスする現場の当事者の姿勢なのである。農業生産や農業ビジネスの経営者が自分の経営をどうとらえ、どのように方向づけたいと考えるのか現場での「問題意識」なしには、どのような情報システムもネットワークも無意味である。この「問題を顕在化」させ、問題の「解決手法を探り」、新たな「モデルを創造」し、ITでシステム化する、またはそれらを支援するのがコンサルタントの役割である。


 

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